日本の科学技術は超一流で、国際競争力も十分にあります。それなのに、なぜ、閉塞感が長く漂っているのでしょうか?執筆当時、科学技術振興機構の理事長だった著者がこの疑問を解明しました。
それは、日本が貿易立国というよりは貸金立国になっているためだ、というのです。蓄積された貿易黒字が海外に投資され、毎年の対外所得黒字は16兆円にも達しています。メーカーの投資は国内には向かわず、雇用も増えません。
目指すべき「第4の価値」とは、個人では実現しにくかった、大きなビジョンのもとに初めて実現できる夢のこと、社会的・精神的に価値のあることを意味します。第1次産業から第3次産業までが創り出す価値は、個人の欲求を満たすものですが、「第4の価値」のキーワードは、仲間、生きがい、環境、生態系、地域、国、地球、美しさ、社会正義、安全などです。
ところで、アメリカでは、「第4の価値」が第4次産業化し始めています。たとえば、流通大手のウォルマートは水素燃料電池フォークリフトを大々的に導入しました。メッセージは、「同じ品質、同じ値段の商品なら、地球環境にやさしいシステムに乗って流通しているものを選んだほうがいいのでは?」というものです。これが人々の消費行動を変えつつあります。
優れた科学技術と「第4の価値」の融合、それこそが日本を救うことになるでしょう。超伝導研究の第一人者でもあった著者が示しているプロジェクト案は気宇壮大です。
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