「環境」という文字をテレビ・新聞・雑誌・Web上で良く見かけます.また,「環境」をテーマとしたレポートを書いたことのある学生諸君も多いことでしょう.現代社会における環境問題について考えるとき,地球温暖化やオゾン層破壊などはすぐに思いつくテーマであり,「何が問題なのか」とか「どんな悪いことが起きるのか」という問いに対する返答も何となく頭の中に浮かぶのではないでしょうか.
それでは,リオ・サミットという環境に関する国際的な会議で挙げられた「生物多様性の喪失」と聞いて,皆さんは何を思うでしょう.日本に生息していたニホンオオカミやトキが絶滅してしまって,私たちの生活にどんな悪いことが起きたのでしょうか.ニホンオオカミが居なくなって野生のシカが増えすぎた・・・とか,綺麗なトキを見られなくなって悲しい・・・という程度の問題でしょうか.そこには,もっと深刻な問題が隠れていそうです.本書を「生物多様性とは何か」という問題を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか.
(一般教育 三五弘之)