図書館だより

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サイエンスカフェ報告

平成30年6月15日(金)17時より、駿河台校舎図書館グループ学習室2にて5回目のサイエンスカフェが開催された。
今回のテーマは「IT時代の学びって?-学生の創造力と学生目線の意見-」で、電気工学科の星野貴弘助教と応用情報工学科の香取照臣教授に話題提供をいただいた。
まず、星野助教は「スマートデバイスの物理教育実験への利用」をテーマに研究室で実証実験されている、スマートフォンを用いた物理実験をタイムラグなく可視化するモデルについて実物を用いて解説された。プログラミング教育は小学校でも必修化され、重要な学習対象となってきているが、それを理科実験のなかで行うにはどうしたらよいかを検討した結果、スマートフォンに搭載されているいくつかのセンサを利用することを思いつき、加速度センサで運動の状態を検出し、モニタで直接表示するプログラムの開発を行った。このようなプログラミングの作成は誰でも可能であると指摘され、現状では高校での有効性の検証を行っていることが披露された。
香取教授は「応用情報工学科でのプログラミング教育の概況」がテーマであったが、幅広い話題のキーワードを中心に話された。まず、「IT時代の学び」を分類すると、「ITでの学び」と「ITそのものの学び」があり、それも学ぶ側と教える側の利用の仕方もさまざまであることを話された。IT機器を活用した学びは適するものとそうでないものがある一方、学びに役立つ優れたツールもたくさんあるので、自分に合ったソフトウェアを探せばよい。しかし、「学び」は頭の中に残っていないと意味がなく、そのためには反復練習が必要となろう。解き方を通じての理解するためにIT機器の活用があるのではないかと話された。プログラムは創造的なもので、コンピュータが命令通り動いた時の喜びをぜひ味わってほしい。たたし、自身が行っている学生相談は対面で行うことを例にあげ、人との直接のやりとりこそが、逆にIT時代の学びになるのではと話された。
フロアの2名の学生から質問があり、板書とプレゼンテーションによる授業の違いやスマートフォンをなぜ物理実験で用いようとしたのかの質問が寄せられた。先生方はどのような場面でも自分なりに考えることが必要であることを強調された。
フリーディスカッションでは、学生たちのスマートフォン等の活用に関するアンケートをフロアからネット上で回答してもらい、23名から回答を得て、その傾向を皆で確認した。学生のIT機器の授業における利用状況は78%が「授業によっては利用」しており、その利用方法として「情報の記録」が最も多いことが明らかとなった。学生がどのようにIT機器を利用しているかを問うたところ、1名の学生がレポート課題に対してネットの文献検索を大いに利用していることをあげた。先生方からは世界中の情報にアクセスできる利用方法はまさに重要であるが、ダイレクトに情報に行きついてしまうため前後の文脈を理解せずに使用してしまう危険性が指摘された。
また、「情報の記録」にIT機器が使用されていることに触れ、それを「記憶」にいかに残すかが需要であることが指摘された。プログラミングも「考える」ことが最も重要であることが指摘された。
勢力分館長から、リアルタイムで可視化することで印象的に記憶に残り、その記憶が創造性にリンクしていくのではないかと指摘があり、また、学びは、適切な課題に取り組むことと、適切な自己評価ができるようになることが重要と思われるが、日ごろ自分自身や学生に課題を課したり評価するときに工夫していることがあるかとの問いが出された。これに対して、先生方からは自分が理解していることが何かを振り返らせることと、成功体験に結び付けることなどが必要ではないかと回答があった。
18時20分に宇於﨑副館長が図書館での学びの方法を考える良い機会になったと閉めの言葉を述べて終了した。会場からは2人の先生方に大きな拍手が送られた。

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