図書館だより

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サイエンスカフェ報告

平成29年11月13日(月)17時より、船橋校舎図書館コミュニティラウンジにて4回目のサイエンスカフェが開催された。
今回のテーマは「自動運転と将来の交通システム」で、機械工学科の堀内伸一郎教授と交通システム工学科の福田敦教授に話題提供をいただいた。
まず、堀内教授は自動車の自動運転がいつ頃から考えられていたのかというところから始められた。1930年代に構想され1960年代から本格的な研究が始まったこと、以降、開発にしのぎが削られたが、2000年代になって各種センサの開発に伴って、完全自動運転化が目指される段階に入っていることが紹介された。現在の自動運転の実用化レベルはレベル2(部分的自動運転)段階であり、運転の主体はドライバにあるが、今後の開発でより機械による支援が進むだろうという予測の一方で、運転の権限をどこまで機械に任せてよいかは、法的にも安全面でも議論が必要な状況になっていることが話された。
福田教授はタイからSkypeを用いて参加されたが、コミュニティラウンジの大学院生と連携してプレゼンテーションをしていただいた。『自動車社会は100年に一度の変革時期を迎えている』という問題提起から始まり、自動車が得た情報をネットワークで結んで、まち全体がひとつの交通システムとして構築されていくであろう近未来が語られた。電気自動車による自動運転にはスマートグリッドが不可欠であり、エネルギー問題も含め、社会、まちづくり、ライフスタイルの全てに変化をもたらす可能性があることが指摘された。
フロアからの質問も活発にあり、先生方は丁寧に回答されたが、途中で福田先生との通信が途切れるアクシデントもあった。
現在、日本で主流のオートマチック車に比べ、欧州ではマニュアル車が多い理由や、その中に自動運転の自動車が混ざった時の危険性、自動運転が普及すれば自動車の運転は趣味やスポーツとして残るだけとなるかもしれないと語られた。また、自動運転を支える技術は、自動車メーカだけのものではなく、電機メーカや情報機器メーカも関係して、日本が世界に誇る自動車産業・ものづくりの優位性が失われ、産業構造自体の変化をもたらすことが予測されるなど、自動運転に留まらないテーマの拡がりと思わぬ展開も語られた。
18時30分に司会の図書館分館副館長の宇於﨑教授が自身の専門の都市計画でも自動運転に関わらなければならないことを実感したと閉めの言葉で終了した。会場からは2人の話題提供の先生方に大きな拍手が送られた。

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