近年、サイエンス・フィクション(SF)の名作が映画化され、ヒット作品となっている。リアリティを追及したものとして「オデッセイ」があげられ、娯楽性を追求したものでは「スター・ウォーズ」や「スター・トレック」があげられるだろう。私はSF作品が大好きで、映画を観ながらそこに描かれている現象を科学的・工学的に「どうすれば可能か」をつい考えてしまう。
想えば、小学生のころからSF好きであったが、大学生のころに決定的な作品(文庫本)に出合った。それが「レンズマン・シリーズ」である。地球人のみならず宇宙に「生」を受けたあらゆる生物が神的な存在(アリシア人)からレンズを授けられ、レンズマン=銀河パトロール隊となる。人類の場合には左手首の腕輪にそれが着けられるが、レンズを身に付けた者はテレパシーなどの超人的な能力をも身に付ける。
作者はE・E・“ドグ”・スミスといい、SF界の巨匠であるとともに、今日スペースオペラやSFで使われる理論をほぼすべて見通し、作品に盛り込んだとも言われている。
主人公の地球人キムボール・キニスンをはじめとするレンズマンたちがどのような活躍をするのかは、本編(7冊)*を読んでもらうしかないが、1930年代から執筆された本書の中に、今日のSF作品のベースがほぼ全て網羅されていることがわかる。レンズマンの超人的活躍にあこがれることはもとより、SFの面白さとは何なのか、その全てが詰まっている古典的作品である。SFに目覚めること必至、さあ読んでみよう。
* 東京創元社の創元SF文庫から7冊のシリーズが刊行。アメリカでは1937年から刊行され始めたが、日本では1960年代に文庫本として出版され、2002年から2004年にかけて電子書籍として再販されている。
図書館ではこの文庫を所蔵
(駿:913.6||Sm 5||1、船:913||R||1)
レンズマン・シリーズ全7冊が揃っています。
※表紙画像は紀伊國屋書店BookWebから提供されています。
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