図書館だより

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第31回日本大学理工学部図書館公開講座「南極・昭和基地における再生可能エネルギーの活用 ~究極のエネルギー地産・地消を目指して~」が終了しました

 平成29年6月16日(金)18:00~20:00に標記の公開講座を開催いたしました。学内外から126名が聴講しました。
 講師の電気工学科教授の西川省吾先生は,ほぼ時間一杯,熱心にお話しをされました。
○講演概要
 南極では昭和基地をはじめとする4つの基地を日本は建てていますが,そこで利用されるエネルギーは日本から燃料(軽油)を運び,ディーゼル発電機で電力と熱を供給しています。しかし,南極に運ぶ全物資のうち燃料は60%に達し,輸送量は限界となっています。そこで,南極で発電を行う「再生可能エネルギー」が求められています。現在の取り組みとして太陽光発電,風力発電及び太陽熱利用の実験が行われていますが,南極という過酷な気象条件のもとでは市販品では対応が不可能で,南極に対応した機器の開発とその信頼性の高さが求められています。太陽光発電では,5月から7月は極夜のために日射はありません。一方,12月は白夜で東京の4倍の日射量があります。このように季節変動が大きい発電をどのように活用するかが課題であり,また,現在設置している55kWの太陽光パネルの破損が多い状況を受けて,発電量が最大で破損が少ない設置条件を現地の実験から求めた報告もなされました。風力発電では,20kW2台で実験を行っており,南極では平均風速は年間を通して安定して強く,風向も安定しているものの,風速は絶えず変動し風車の回転数が変動すると電圧や周波数の変動も大きくなるという実験結果が報告されました。さらに,現状のディーゼル発電機による200kWの電気系統に,それぞれ100kW未満とはいえ,上記のように変動の激しい太陽光発電や風力発電を直接つなぐことは難しく,課題はまだまだ山積みですが,西川先生発案のアイデアも披露され,近いうちに再生エネルギーの地産・地消が実現するかもしれないと期待させてくれました。


※講演者の西川先生(電気工学科)です!


※126名, いろいろな世代の方にいらしていただきました。


※南極の氷です。耳を澄ませば, 『ぱちぱち』と小さなささやきや,
 南極の空気が流れ出し・・・。浪漫を感じます。


※写真中央は, 実際に南極で活躍した防寒服です(スキーウエアに似ています)。
 足元の靴はとても厚底でした。
 この度は, 沢山の資料を国立極地研究所からご協力いただきました。

                      後援: 千代田区 ・ 協力: 国立極地研究所

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