何とも変わった本である。著者のナイジェル・ホームズはイラストレータで、現在はインフォグラフィック(情報やデータを視覚的に表現したもの)作品を多数手がけ、本書もその1冊といえる。各ページには、文字ももちろん書かれてはいるが、それよりもイラストを見るだけで、そのページで伝えたい内容が理解できる。
目次をみると7章に分かれており、「世界のことは意外に知らない」「おいしい料理とお酒の話」「もっと楽しむ!旅のトリビア」など、書名にあるように世界中を旅するのに役に立つ情報が掲載されている某「○○の歩き方」のようなものかと思うと大間違い。
『幸せなのはどこの人?』では国別の幸福度ランキングが紹介され、8が満点で日本は6ぐらい。『ワニに関する注意事項と・・・/戦い方』ではワニの弱点が紹介され、『キスの作法』や『ビタミン学』『二日酔いにならない方法』『ホテルの部屋を泥棒から守る』『ダイヤモンドの選び方』など各ページが見開きで、イラストを中心にさまざまな興味深いことを教えてくれる。とはいえ、何も覚える必要はたぶんない。ほぼ不要な知識といえる。しかし、眺めているととても楽しい(読書というより「眺める」がピッタリくる)。だから冒頭に述べた「何とも変わった本」といえる。
旅をするのにこのような知識が必要だとすれば、どれだけサバイバルであろうか。逆に旅に出ないからこそ、この本を眺めていて楽しい。理系の学生に学修に役立つからと勧めることはできないが、今日、わかりやすいプレゼンテーションが求められる中、このような(さまざまな)表現方法を眺めながら、自分の研究成果を示す方法がないかを考えてみることも必要であろう。
図書館ではこの単行書を所蔵
※表紙画像は紀伊國屋書店BookWebから提供されています。
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