おすすめの本

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☆おすすめの本☆ 「科学的思考」のレッスン 学校で教えてくれないサイエンス 戸田山和久著 / 推薦者:堀内伸一郎(機械工学科)

日本大学工科の歌「若きエンジニアの歌」の歌詞に,「科学の力と不屈の意志を/武器として進まん/若きエンジニア」という一節があります.理工学部で学ぶ多くの工学系専門科目が「科学」を基礎にしていることは言うまでもないでしょう.しかし,改めて「科学」とは何だろう,あるいは「科学的」とはどういうことだろうと考え始めるとよくわからなくなってきます.本書の副題の通り,残念ながら工学系のカリキュラムの中には,このような疑問に答えてくれる科目はあまり見当たりません.

本書は「科学的知識」を得るための本ではなく,「科学的思考」とは何かを詳しく論じた本です.その第I部では科学的に考えるとはどのようなことなのか,その基礎的な部分をわかりやすく記述しています.理論と事実はどう違うのか,より良い理論・仮説とは何だろうか,帰納法と演繹法による推論の違いとは,相関関係と因果関係はどう違うのだろうか,などについていろいろ例を挙げながら説明がなされています.科学哲学の分野でも決着がついてない,科学と疑似科学(例えば血液型人間学や超心理学のように,科学のように見えながら科学と言えるかどうか疑わしい分野)の境界線問題についても触れられています.

第II部では第I部の応用編として,科学と社会の境界線上で生じている具体的問題を取り上げ,科学を専門としない素人がこれをどのように考えていったら良いかという「科学リテラシー」の問題を取り上げています.我々の身の回りには科学なしには解決できないが,科学だけでは解決できない問題,例えば「被爆リスクはどこまで許容できるか」のような問題がたくさんあります.このような問題を考えるため,本書は科学を専門としない一般市民も科学に対するリテラシーをもたなければいけないと主張しています.

科学という営みの基礎を真面目に考えてみたい人にお薦めの本です.

※表紙画像は紀伊國屋書店BookWebから提供されています。クリックすると紀伊國屋書店BookWebページが開きます

 

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