おすすめの本

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☆おすすめの本☆ 紫外線・熱中症を防ぐ日除け 川西利昌著 / 推薦者:大塚文和(海洋建築工学科)

 強い日差しを避ける行為は、人が生命を守る基本的動作です。人々は日差しを避けるために樹木や日除けに出来る日陰を利用してきました。日除けは有史以来の長い歴史を持っています。しかしその存在があまりにも当たり前過ぎるため、今まで科学の対象となることは少なかったようです。著者は海洋建築工学科で、永年にわたり沿岸域の建築環境工学を講義し、紫外線や日射から人々を守る日除けの研究を学生と共に行ってきました。その成果が本書にまとめられています。内容は「日除けの基礎」、「海外の日除け」、「日本の日除け」、「日射と紫外放射」、「日焼けと熱中症の予防」、「日除け計画」、「日除けの設計」、「紫外線と建築」の8章から構成されています。

 人々を熱中症や紫外線被曝から守るために日除けは効果的ですが、個々の日除けを増すだけでは不十分で、もっとシステマテックに日除けを建設すべきであると著者は主張しています。中学生や高校生、一般市民から建築士、造園技術者にも利用できるようにスケッチや、著者が世界中で撮影した写真が多数採用され、読みやすくなっています。目に見えぬ天空からの紫外線を可視化した図が巻末に添えられているのも魅力的です。 本書は環境省紫外線保健マニュアルや、熱中症保健マニュアルに防止策として提案されている「日陰に入る」を、建築学の立場から追及したものといえます。 本書はすでに全国の県立図書館に所蔵されていて、熱中症が多発した今夏、多くの人々に貸し出されました。なお表紙には斉藤公男名誉教授設計の膜日除けが使われています。この日除けは愛知万博で採用され、その後駿河台校舎・船橋校舎に移設されたものです。

※表紙画像は紀伊國屋書店BookWebから提供されています。クリックすると紀伊國屋書店BookWebページが開きます

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