おすすめの本

おすすめの本

☆おすすめの本☆コンサルが「最初の3年間」で学ぶこと
 知らないと一生後悔する99のスキルと5の挑戦 高松智史著 
 推薦者:宇於﨑勝也(建築学科)

 コンサルタントの仕事は「答えがないゲーム」において、いかに付加価値を付けて、クライアントに納得してもらう解を出すのかであり、その技術・手法が本書の中には詰まっています。しかし、そう考えるとコンサルタントという職種に限らず、多くの仕事の中で直面する「答えがない」という場面でどのように対処・思考すればよいのかを示していると読みかえることもできます。
 学生諸君も卒業研究・修士研究のなかで、「答えがない」問いや仮説を立てて、それを解決するために実験、シミュレーション、調査・分析など多様なアプローチで取り組んでいると思うので、通ずる部分が数多くあるように思います。
 本書はコンサルタントに勤務しての3年間に学ぶことのそれぞれ33項目と、4年目の5項目の計104項目について、「コンサル思考/お作法VSコンサルタント」という記述の仕方で、前者:答えがないゲームで解を見つける方法VS後者:中途半端またはやってはいけない方法という対比形式で、コンサルタントが身に着けるべき技術・手法を紹介しています。1年目は比較的易しい生活態度のチェックから上司との付き合い方、2年目にはクライアントへのアプローチの仕方、3年目のベテランとなれば部下の指導の仕方まで、自分自身の技術力アップから周囲への気配りまでさまざまなスキルがあることを学ぶことができます。
 104項目のうちのひとつ、「003 相談+報告。VS相談。」の項目を引用(pp.28~29)します。『若い時は特に「相談する」ことが多い。仕事に関しても、転職に関しても、それこそ男女関係についても相談をするし、若いということもあって気兼ねなく年上の方に相談できる。それは素晴らしいことなのですが、しかしそこには罠があり、その罠にハマっている人が多くて僕は悲しくて仕方がありません。それは、相談が投げっぱなしジャーマンになってしまっているという罠です。
 例えば、皆さんは明日、面接を控えているとしましょう。その面接のために、先輩にアドバイスをもらいたくて相談したとします。よくあることです。そして、しっかりアドバイスを受けたら当然、最後にこう叫ぶ。
                 先輩のアドバイスをもとに、がんばってきます!
ところが、面接を終えたら気分すっきり、相談したことをすっかり「過去のこと」として捉え、思い出すことなどない。そうすると悪夢が訪れます。少し時間が経った後、その相談した相手にばったり会ったとしましょう。その相手から次のように聞かれてしまう。
                 そうだ、相談してくれた件はどうなったわけ?
この瞬間、その相談に乗ってくれた方は「相談したのに、その結果報告をしてくれない人なんだなあ。なら、次は相談を受けるのやめよう」と心に決める。そんな人は「性格の悪い奴」だと思うかもしれませんが、人生、皆誰しも「人のことをかまっている暇も余裕もないほど忙しい」のです。だから無意識に、次に相談受けた時に「面倒くさいから後にしよう」となっていくのです。だから、相談受けた時の最後の一言はこうしなければなりません。
          先輩のアドバイスをもとに、がんばってきます!結果はまた報告させてください。
そして、その「報告」こそが、その相談者との関係を深めますし、何かにつけてアドバイスをもらえる関係に昇華できる。結果、こちらとしても相談しやすくなるわけです。
つまり、相談とは
         相談で終わり、ピリオドを打つのでなく、相談+報告で終わり、ピリオドを打つもの。
なのです。皆さんもピリオドの打ち方をお間違いなく』
 私も学生からよく相談を受けますが、報告があることは稀で、就職などの重要なことならば、「あの件はどうなった」と報告を促すことがたびたびです。この「相談+報告。」は学生の皆さんにモラル・処世術としてもぜひ身に着けてほしいと願います。
 本書にはコンサルタントとしての技術的な内容も含まれてはいますが、上記のようにわかりやすい言葉で、社会人として生活するうえで心得ておきたいことも含めた104項目が学べます。
 すこし厚い本に見えますが、読みやすく、小さな単元(項目)に分かれているので、理解もしやすいです。学生時代に身に着けておくべきスキルを知ることができる、お勧めの1冊です。

コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト 知らないと一生後悔する99のスキルと5の挑

図書館ではこの図書を所蔵
(駿:336.83||Ta42  船:336.83||Ko )

※表紙画像は紀伊國屋書店BookWebから提供されています。
こちらをクリックすると紀伊國屋書店BookWebページが開きます。

 

ページトップへ