おすすめの本

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☆おすすめの本☆ ウエストがくびれた女は、男心をお見通し 竹内久美子著 
 推薦者:宇於﨑勝也(建築学科)

竹内さんによる動物行動学から見た人間の男と女のハナシで、メールマガジンの連載を取りまとめて出版したとのこと。本書では同じ事象が繰り返して紹介されるので、「くどい」と感じられる部分もあるが、その点を差し引いても面白く、理解しやすい内容となっており、遺伝子というものは、かくもわれわれの行動や体形を既定するものかと驚くとともに、血液型による性格判断があながち間違いではないことから、女系天皇が誕生するとどうなるのかまで、内容も幅広い。
昨年、新型コロナウイルス感染症の蔓延で緊急事態宣言が発令されたとき、もしかすると1年ぐらい先には出生率が上昇するかも、と私はひそかに思った。それは以前、竹内さんの著書を通じて「1965年1月、アメリカとカナダで2,500万人が停電の被害にあい、12時間にわたって暗闇と寒さの一夜を過ごすことになった事故の結果、10か月後に出産ラッシュが起こった」という事実を知っていたからである。竹内さんによると人間は排卵期に排卵する自然排卵の動物であるが、大きな恐怖を感じた際には性行為が引き金となって排卵が起こる交尾排卵となることがあり、この停電ではまさにそれが起こったとのこと。新型コロナウイルス感染症という未知の病気の脅威と、巣ごもりという事態がこの引き金になるのではとひそかに予測したのだが、結果、2021年1~3月のわが国の出生数は前年同期と比べて9.2%減となり(厚生労働省発表)、減少傾向は止まらなかった。交尾排卵は起きなかったのか、そもそも人との接触自体を避けて、パートナーとさえ過ごさなかったのか。見事に予測は外れた。しかし、こんなことを夢想しなければならないほど、わが国の人口減少は著しく将来が懸念される。
さて、本書の中に「仲の良い夫婦が顔まで似ている理由」という節がある(93ページ)。冒頭部分を引用すると、『仲の良い夫婦は顔まで似てくる、とよく言われる。この件について私はぜひ言いたいことがある。夫婦になったから似てくるのではない。彼らはもともと似ていた。だから、ひかれ合って夫婦になったのだ。さらには、一緒に暮らすうちに、表情や動作などを互いに真似し合うようになる。だからますます似てくる。このように似たもの同士がひかれ合う現象を「アソータティヴ・メイティング(同類交配)」という』。読み進めるとナルホドと納得する。わが家をひるがえって、結婚してから間もなく30年、私と妻ははたして似ているのか?そんなことより学生諸君が、これからBF・GFを探すのなら、ぜひ自分と顔が似た子を選ぶとよい。この説に従えば長いお付き合いができることになる。
理工学部では研究対象はヒトではないと思われがちである。しかし、各種の研究成果を使うのはヒトである。ヒトとは本質的にどのような動物なのか、知っておいて損はない。教養としても、友人との雑談のタネとしても面白いハナシが満載である。時間のある夏休みなどに、お勧めの1冊です。

WAC BUNKO<br> ウエストがくびれた女は、男心をお見通し―動物学から見た男と女

図書館ではこの単行書を所蔵
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