著者の美馬さんは、公立はこだて未来大学(北海道函館市)と日本科学未来館(東京都江東区)の設立に携わり、その後、はこだて未来大学では教授に、日本科学未来館では副館長に就任(2003年~2006年)された、リケジョの最先端を走るような方です。理系に進もうと思ったのは小学校低学年(最初は女医にあこがれ、その後、算数や理科が好きになった)であったそうです。専業主婦になったりアメリカの大学院に単身留学したりと、ご本人の波乱万丈の経歴は本書の第7章を読んでください。
さて、美馬さんはまず「理系女子的生き方」の定義を、性別に関係なく、「自分のやりたいことを見つけて、まわりを巻き込みながら、楽しく生きる生き方」とします。ご本人の人生の中で発見された人生観なのでしょう。最近は自分のやりたいことが何なのかわからないという学生もいるようです。しかし、今楽しく生きるためにはどうしたらよいのか、その延長上に自分の人生を考えるとき、美馬さんのいう「リケジョ的視点」は「やりたいこと」を発見するのに役立つのではないかと思います(もちろん性別に関係なく)。
すべては「何か変?」「なぜ、どうして?」からはじめると身の回りには楽しくて不思議なことが一杯あります。本書は「理系女子(リケジョ)」を育成したり、支援したりするだけの内容ではありません。中学・高校生の時に読めばぜひ理系に進学したくなるでしょうし、もっと大人の理系の学生や社会人にとっては生き方の指針を見出す参考になるでしょう。お勧めの1冊です。
日本科学未来館へのリンク http://www.miraikan.jst.go.jp/