『就職氷河期世代論のウソ』は、1990年代後半から2000年代初頭に就職期を迎えた、いわゆる「就職氷河期世代」をめぐる通説に対して、真正面から打ち抜く一冊です。こちらは経済動画サイトPIVOTで見てました!あの動画のままの迫力の一冊です。
「1700万人が国に見捨てられ、今もなお非正規にあふれ、老後は貧困と低年金に苦しむ世代」このイメージは、果たして事実なのか。雇用問題の専門家が現場経験と統計データをもとに、この“ストーリー”を一つひとつ検証し、冷静かつ挑戦的?に三枚おろしにしていきます。
氷河期特有の問題か?非正規雇用正規雇用の問題か?学歴格差の問題か?男女雇用機会均等法施行後の混乱か?単なる景気不景気の問題か?データは何を示しているでしょう?以前から続く日本社会の構造的課題について厳しい指摘が書かれています。
また、「低年金者は氷河期世代に集中する」という通念に対しても、著者は統計を用いて異議を唱える。現時点で低年金者が多いのは、むしろバブル世代の方であり、専業主婦層や企業リストラの影響を受けた層が大きく影響しているというのだ。さらに、政府は氷河期世代を長年放置してきたわけではなく、2000年代以降も繰り返し支援策を打ち出し、令和以降だけでも年200億円規模の予算が投じられてきた事実を示す。
こうした
データの積み重ねによって浮かび上がるのは、「氷河期世代」というものが、実態と異なった形で、政治やメディアによって再生産されてきたという構図である。著者は、マスコミ・政治家・官僚がこの問題を好む理由についても踏み込み、「分かりやすい氷河期世代像」が政策アピールや視聴率、予算確保にとってどんな意味をもっているか辛辣に分析している。
この本は単なる“氷河期世代擁護論”でも“自己責任論”でもなく、「世代」という雑なくくり方そのものを問題視している。困窮している人はどの世代にも存在するにもかかわらず、世代単位で支援策を設計すると、本当に支援が必要な層(低学歴層、女性、非正規で固定化された人々など例をあげればきりがない)が見えにくくなる。だからこそ、「氷河期世代を救え」というスローガンではなく、個人の状況に即した支援の必要性を強く言及している。
当時、後輩を見てきた人間にしてみると大変だったのは事実で、また将来リスクを過小評価にはならないか?という意見もわからなくはないです。読んでいて「どの事実をどう見るか」という刃を突き付けられているようにも感じます。統計データを使った分析や世の中の感情的な合意をそのまま受け入れることの危うさ考えさせてくれる一冊です。極めて刺激的で、知的な挑発に満ちて、極上の思考を楽しめる一冊です。やばいです。
そして最後に「過去を嘆くこと」と「未来に備えること」のどちらが社会にとって本当に重要なのかを問うています。
是非読んでみてください。すごいよ!
