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☆おすすめの本☆ 魔術から数学へ 森毅著 / 推薦者:山﨑恆樹(電気工学科)

「魔術から数学へ」 著者:森 毅 出版社:講談社学術文庫(2011年第24版)

魔術から数学への画像 “微分・積分の基礎となる工学的な思考とは“

各工学分野での技術革新には必ずその本質をなす数学的魔術があり、タイトルから微分・積分を魔術とした数学史(ニュートンとライプニッツ)を連想するかもしれませんが、内容は、微分・積分が構築されるヨーロッパ16世紀の魔術師(錬金術や占い・確率等の科学者)の科学思想を通して、当時の数学者の思考、特に現在の微分・積分の基礎となる数学的な考え(数量的世界像の成立)の構築状況を、著者の数学者としての豊富な専門知識と歴史観から蘇らせた「科学思想の歴史」の本です。

現在では疑問すら持たない事項でも、例えば「量の割り算」(速さ=距離÷時間)は異種同士の割り算は当時タブーとなっていたことや「量の掛け算」、「有限と無限」などの当時の科学者の思考がのちに、ニュートンとライプニッツが手掛けた微分・積分の基礎に至ったなど、工学的な思考技術が随所に披露されています。また、この本の特徴は、各章に注釈がありそれが著者との対話形式となっていて理解しやすいこと、また、時に著者の数学的歴史観から内容が少し横道にそれても、末巻の村上陽一郎氏の「解説に代えて」に本書の目的(道筋)が簡潔明快にまとめられていますので、どの章から読み始めても章ごとに興味深い内容となっています。

※表紙画像は紀伊國屋書店BookWebから提供されています。クリックするとBookWebページが開きます

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