あらためて考えさせられる、人の業(ごう)と性(さが)。
トランスジェンダーについて、印象より冷静に読みこんでほしい一冊です。著者アビゲイル・シュライアーは、世界中で注目を集め、多くの賛否両論を巻き起こしているこのテーマに対し、綿密な取材を基にさまざまな検討・検証をしています。事象の列記だからこその迫力があります。SNS、学校、医療の各分野がどのようにして子供達や若者のトランスジェンダーの認識や行動に影響を与えているのかを詳細に描き出しています。単なる欧米の事例を紹介するに留まらず、見逃すことのできない重要な事象について言及しています。
教師・学校は性に関する教育を 幼稚園から小学校、中学校、高校 それぞれでどのように行っているか、そこに関わる人たちはどう行動して子供達に向き合っているのでしょうか?また家族は、医師はどう言葉をかけ、そして導いているのでしょうか?そして後戻りのできない医療行為を親との相談無しに実施できてしまう法の存在とそこにある現実、この部分も冷静な眼で是非読んでほしい。性別違和の今昔についても詳しく書かれています。また概念として論争となっているROGD急速発症性性別違和(Rapid Onset Gender Dysphoria)についても書かれ、注目点がよくわかります。
ジェンダーアフアーメーションケア(ジェンダー肯定ケア)について、何のために・どうして・どのように行われているかとても勉強になります。また多面的な観点で書かれ、さまざまな事例や現状が描かれています。ここも必読です。ぜひ読み込んでほしい。
読んでいて注目点があまりにもありすぎて、読み返しのための付箋だらけ(50ぐらい?)になってしまった異例の一冊です。本当に勉強になりました。確かに賛否がある事がよくわかる書籍ですが、ウチの学生ならば冷静な眼で読み込むことができるでしょう。特に人を育てる職業の人間は、どの立場の人でも読んでおくべき一冊です。
人間という生物(いきもの)を今一度考え直すことになります。是非読んでみよう。
図書館ではこの図書を所蔵
(駿: || 船:367.9||To )
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