冒頭の「石には粉」=「142857」の語呂合わせから始まりますが、これが1÷7の循環小数であることを知っている方はこの本のネタを半分以上既に知っている方かもしれません。何気なく暮らしている生活の中に隠れた数学や日本古来の和算まで、電車の中で読むのに丁度良い読み物となっていますが、時として問題を解こうと考え込んでしまうと乗り過ごす心配があります。
機械工学科の教員として学生に身に付けてほしいと思った話は、「ざっくり計算する」、つまりオーダーがどれくらいかを考えるセンスの重要さに関する章でした。機械部品の寿命を計算する問題で、山手線の車両の車軸が山手線一周で何回転するかを考えてから何年で寿命になるかを考えるのに、「13.5回転で一周」と間違って解答を進めた答案を見たことがあるのですが、「13.5×103回転で一周」とオーダーを書き忘れたものでした。ざっくりと考えて、山手線一周34キロを13.5回転で回る車輪の直径は一体いくらになるのでしょうか?定期試験の直前でなく、夏休みや春休みに読んでおくことをお薦めします。