「本を読まなくても，ネットでいいじゃん」著者はこう書きだし，ネットで読むことを決して否定はしません。ではなぜ読書を進めるのでしょうか。「向かい方」に大きな違いがあると述べています。ネットで文章を読むとき，われわれは「読者」ではなく「消費者」となり，より面白いものを選び消費し，浅い情報は持てるものの，じっくり本に向き合った結果生まれる「人生が深くなる」ことはないと断言します。読書は「体験」であり，体験は人格形成に影響します。自分ひとりの体験には限界があるが，読書により疑似体験ができ，読書によって人生観，人間観を深め，創造力を豊かにし，人格を大きくしていくことができる。だからこそ読書が必要と強調します。
７章にわたって「本の読み方」を解説しながら，それぞれの章で著者のおすすめの名著も紹介してくれます。教養のある「深い人」が著者の理想とする人物像のひとつですが，読書を重ねることでより磨かれていくそうです。日ごろ読書をしない人は怖くて手が出ないかも知れません。読書に親しんでいる人は本書によってほくそ笑むでしょう。あなたはどちらのタイプでしょうか。いずれにしても平易な文章で論理的に構成されており，読みやすい本書は読書のきっかけにおすすめです。

図書館ではこの単行書を所蔵
（駿：019||Sa25，船：019||D）

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