真っ先に目を惹かれるのは『チューブ生姜 適量ではなくて1cmがいい人の』というキャッチコピーであるが、化学系の私は体積だろうと心の中でツッコミを入れた。ただ、この細かさ、理系の人の心を幾度つかんだことだろうか。理念・概念という内容だろうと構えて読み進めると野菜や肉の水分量から考察される保存の仕方など具体的な料理の作り方がそれこそ細やかに記載されており確かに1cmがいい人向けの実用書である。この料理本には野暮ではあるが、化学の実験方法にも相通ずることが盛り込まれており、講義をする身としては参考にすると同時に、生まれて初めて化学実験を行う学生向けでもある。巻頭カラーの牛丼作成フローチャートは必見である。その後、卵のゆで時間を変化させ、その様子を写真などにまとめ考察を加える流れは実験レポートの書き方の参考となろう。考察の手助けとなり同時に腹も膨れる、これは一石二鳥の本であり、おおいにお勧めする。

図書館ではこの単行書を所蔵
（駿：596||G 72、船：596||C）

※表紙画像は紀伊國屋書店BookWebから提供されています。
　こちらをクリックすると紀伊國屋書店BookWbページが開きます。