おすすめの本

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☆おすすめの本☆ アーバニズムのいま  槇 文彦 著  /
 推薦者:宇於﨑勝也(建築学科)

建築家 槇文彦といえば、建築を学ぶものなら知らぬ者はいない日本建築界の第一人者である。東京大学工学部建築学科において丹下健三のもとで学び、ハーバード大学大学院修了後、米国の設計事務所や大学で勤務後、日本に戻って東京大学の教授を経て、槇総合計画事務所を設立し、数々の名建築を生み出してきた。9.11テロで破壊されたマンハッタンのワールドトレードセンター跡地に立つ4ワールドトレードセンター(4WTC)の設計者でもある。

92歳となった槇が長い人生経験を振り返るとともに、生み出してきた作品の意味を改めて問い直した著作となっている。「アーバニズム」とは都市・大都市になっていく過程のことであり、私が講義を担当する都市計画や都市デザインの本質に他ならず、私自身も興味深く拝読した。

本書は4章で構成されているが、それぞれの章が完結しているようでもあり、関連するようでもありという関係性になっている。ある章で述べられたことが別の章で引用されたり、それぞれの章だけを取り出して読んでも、ひとつの論考として納得できる。

内容はアーバンデザインの基礎知識がないと理解しにくいかもしれないが、槇が生きてきた時代の中だけでも、都市への対峙の仕方が大きく変化してきたことは理解できると思う。

学生たちには「おじいちゃんから昔話しを聞くような気持ち」で本書に向き合ってもらいたい。建築に携わる者でなくとも日本を代表する「人格者」から学ぶことは多い。おすすめの1冊である。

図書館ではこの単行書を所蔵
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※表紙画像は紀伊國屋書店BookWebから提供されています。
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