おすすめの本

おすすめの本

☆おすすめの本☆ 何のための「教養」 桑子敏雄著 / 推薦者:宇於﨑勝也(建築学科/不動産科学専攻)

著者の桑子先生とは以前,日本建築学会の学術講演会でお会いした。私はずっと工学系がご専門と思い込んでいたが,本書を読んでビックリ。東京大学文学部哲学科を卒業し,博士課程も修了している。在学中は「人間と自然との関係」にこだわって西洋哲学から東洋哲学まで幅広く研究を展開されたことが述べられている。本書はアリストテレスの「教養は幸運なときには飾りとなるが,不運の中にあっては命綱となる」という「教養」に関する古典の解説から始まるが,徐々に「風景」の話,「プロジェクトマネジメント」の話へと展開し,全体をとおして大学教育の中での教養の磨き方が語られている。
 本書の中には感銘を受ける言葉をたくさん発見できるが,「教養ある人は目の前にある選択肢を見抜くことができるのに対して,教養を欠く人は,目の前に広がる選択肢を選択肢として認識することができない(P.66)」「『リベラルアーツ』の『自由』とは,労働という束縛から解放されるという意味であった。解放された時間,余暇を使って高度な自由を得るために人びとが求めたのが学問である(P.86)」など,今さらながらナルホドと思わされた。
全7章の中では過去の哲学者の言葉や古典が随所に引用され,またダイナミックに話が展開していくので読み飽きることなく通読できる。「教養」なんて必要ないと思っている人はいないと思うが,真の「教養」とは何なのか改めて納得することができ,大学で「教養」を身につける意味を知ることができる。大学生が今読むべきおすすめ本である。
桑子先生が本書の最後に述べた「我童蒙を求むるにあらず。童蒙来りて我に求む(『易』「蒙」)」は,大学生に身につけてもらいたい心構えであると,私も同意しておきたい。

図書館ではこの単行書を所蔵
(駿:||,船:080|C|329)

※表紙画像は紀伊國屋書店BookWebから提供されています。
こちらをクリックすると紀伊國屋書店BookWebページが開きます。

ページトップへ